青空
亜季は、放心状態であった。


自分の目の前で小刻みに肩を揺らす尾上。

その背中を、何も言えずにぼうっと見つめることしか出来なかった。


やがて、大粒だった雨は霧状に変わり、そして雲の切れ間から夏の太陽が差し込むにつれ、次第に止んでいった。

その強い光が亜季の体から、熱い湿気を漂わせ始めた。


亜季はゆっくりと立ち上がった。
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