青空
レジに表示されている数字を見て、亜季は多少うろたえた。

そして財布を開けて小さくため息をつく。


(た、高い…。)

一人で食事をして千円を超えるなど、亜季の生まれ育った村では考えられない。


このままだと母親からもらった一万円など、あっという間になくなってしまうであろう。

母が敷金と共に払ったアパートの家賃もわずか一ヶ月分だけであり、その後は支払いのめども立たない。


多少震える手で食事代を払うと、明るく挨拶する店員を背に重そうにガラスの扉を押して外に出た。


すると、そんな亜季の目に一枚の張り紙が目に入った。


(これだ…。)
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