青空
亜季は事務所の一室に通された。


そこは三人がけの長テーブルといくつかの椅子が置いてあるだけで、ほかには何の調度もない白い壁に囲まれた部屋であった。

どうやらそこは、従業員の休憩室のようである。


部屋の隅には、従業員のものであろうか、いくつかのかばんが積み重なって置かれていた。

その殺風景な室内の雰囲気は、店内の華やかな雰囲気とは明らかに異質なものに感じられる。


亜季が自分のあとに部屋に入ってくるのを確認すると、誘導してきた女性店員は亜季に向かって小さく会釈をして部屋を出て行った。

唯一の調度品といえるテーブルの奥に置かれたパイプ椅子には、一人の男性が座っている。


その柔和な笑顔がオレンジ色の制服とよく合っていて、亜季は非常に好感が持てた。

年の頃は三十代後半といったところであろうか。
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