青空
「どうぞおかけください。」

「あ…、はい。」

亜季は男性のあまりの活舌のよい言葉に、一瞬圧倒されかけたが、気を取り直してテーブルを挟んだ椅子にいそいそと腰を下ろす。


男性はその亜季が座る様子をじっと見ていた。


「はじめまして。店長の北出です。」

「あ、私、亜季…。いや、木杯亜季と申します。」

しどろもどろになる亜季に向かって、北出は単刀直入に問いかけてきた。


「それで、この店で働きたいのですか?」

そのあまりにも真っ直ぐな質問に、亜季は言葉に詰まる。


「あ・・・はい。昨日田舎から出てきたばかりで、生活費を稼ぐために働かなければならないのです。」

「ほう…。」

亜季の説明に、北出は目をきらきらさせながら身を心持ち乗り出した。



その多少値踏みをするような視線に、亜季は少し息苦しさを覚えた。
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