青空
夜も深まり、まりは程よく酔いが回ってきたようであった。

そのほんのり赤くなった顔は、思いのほか色っぽく、女性である亜季でさえどきりとする。


まりはグラス片手にベランダに出ると、咲き誇る桜の花をまぶしそうに見詰めていた。

そんなまりの横に立って、亜季は烏龍茶をいれたグラスに口をつける。


「亜季ちゃんの生まれた田舎では、まだ桜は咲いていないのかな。」

「そうですね。なにぶん北国の田舎ですから、あと2、3週間はかかるでしょうね。」

「へえ。」

まりはそう言うと、ビールをぐいと飲み干し、ふうっと息を吐き出した。


「いいところだったんだろうね、田舎。」

「いえ、何にもなくて・・・。」

「じゃあ、いいところだ。」

まりは、ぐっとビールを飲み干すと、ふうっと息を吐いた。
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