青空
待った。

待った。


でも午後一時を回った頃、亜季はゆっくりと椅子から立ち上がった。

そして、重い体を引きずるようにホームから続くくだり階段をおりる。


そして熱せられた線路を横断すると、野ざらしの無人改札の前を通って駅の前を走る砂利道に出た。

うつむいて地面を見つめながら歩く亜季は、ふと我に帰った。


これからどうしよう。


あれだけ背を向けた実家に帰るなんて、やはり今の自分には出来そうもない。

亜季は足を止めた。


放心した瞳で足元をじっと睨みつけながら、しばらくその場に立ち尽くした。

いつもは軽く感じる黒のトートバッグが、いやに重く感じる。


そんな亜季の頭に、夏の太陽は容赦なく熱い光を降り注ぎ続ける。


歯を食いしばって乾ききった砂利を見つめる亜季の目に、うっすらと涙が浮かんだ。


その時。


「亜季…、か?」

突然かけられた声に、亜季は驚いて顔を上げた。
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