青空
「ところでその服…。」

「え…服…?」

突然そう言いかけたテツオの言葉を遮るように、亜季は間抜けな声を発した。


テツオはそんな亜季から恥ずかしそうに目をそらしながら、たどたどしく尋ねる。


「その服…東京で流行ってるの…?下着みたいだけど…。」

「あ、これ?そうかな。」

亜季は噴出しそうになった。


純情でファッションになど興味のないテツオにとって、亜季の着ているキャミソールは刺激的なものに映るのかもしれない。


亜季は意地悪してみた。


「テツオこそ、相変わらずセンスないね。」

「ええ?そうかなあ…。」

そう言って緑のポロシャツを両手で触るテツオのしぐさを見て、亜季は我慢できず遂に噴出してしまった。


「何だよ、ひでえなあ。」

「事実じゃない。」

亜季は文字通り頬を膨らませているテツオに向かって、お腹を押さえながらそう突き放すように言った。
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