青空
「私、これからテツオのところに行く。」

伯父は思わず返答に迷ったが、自分の胸の中から見上げる亜季の顔を見て静かに言った。


「…そうか。それがいいかも知れん。」

姪の性格を知る伯父は、もはやその姪の行動を止められないことを知っていた。

その強い決意の浮かんだ目を見て、悔いを残さないためにはそれもいいと思った。


亜季は小さなトートバッグ一つを持って立ち上がる。

そして数歩歩いてガラス戸を押しかけたところで、ぴたりと足を止めた。


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