Anonymous〜この世界にいない君へ〜
「そ、そんなに損傷が激しいの?」
「仮に身元がわかったとしても、ご遺族が本人確認ができないんじゃ……」
尚美と碧が顔を見合わせて体を震わせる。真っ青になりながら彰が立ち上がり、ショックを未だ引きずっている紫月と蓮の前にお菓子を置いた。
「よ、よかったらこれ食えよ。雪ちゃんが有名製菓企業とコラボして作ったお菓子だ。特別に分けてやるよ」
彰の推しであるアイドルがコラボしたというお菓子は、苺味のフィナンシェだった。彰曰く、フィナンシェは推しアイドルの一番好きなスイーツで、苺味の理由は推しアイドルの推しカラーが赤のため赤い果物である苺が選ばれたそうだ。
紫月は大の甘党である。普段ならば、目を輝かせてフィナンシェに食い付いていただろう。しかし今はあの凄惨な遺体が頭から離れず、食欲は当然ながら湧かない。蓮も同様に青白い顔をしたままフィナンシェを見ている。
「谷崎さん、ありがとうございます。またあとでいただきます」
「ありがとうございます。俺も気持ちが落ち着いてから食べーーーうっ!」
「仮に身元がわかったとしても、ご遺族が本人確認ができないんじゃ……」
尚美と碧が顔を見合わせて体を震わせる。真っ青になりながら彰が立ち上がり、ショックを未だ引きずっている紫月と蓮の前にお菓子を置いた。
「よ、よかったらこれ食えよ。雪ちゃんが有名製菓企業とコラボして作ったお菓子だ。特別に分けてやるよ」
彰の推しであるアイドルがコラボしたというお菓子は、苺味のフィナンシェだった。彰曰く、フィナンシェは推しアイドルの一番好きなスイーツで、苺味の理由は推しアイドルの推しカラーが赤のため赤い果物である苺が選ばれたそうだ。
紫月は大の甘党である。普段ならば、目を輝かせてフィナンシェに食い付いていただろう。しかし今はあの凄惨な遺体が頭から離れず、食欲は当然ながら湧かない。蓮も同様に青白い顔をしたままフィナンシェを見ている。
「谷崎さん、ありがとうございます。またあとでいただきます」
「ありがとうございます。俺も気持ちが落ち着いてから食べーーーうっ!」