Anonymous〜この世界にいない君へ〜
蓮はまた吐き気が込み上げてきたようで、彰にお礼を言っている途中で部屋の外へと出て行った。もうすでに胃の中身は空っぽだろうが、吐き気にそんなものは関係ない。
「俺、現場に行かなくて本当によかったかも……」
彰がそう言った時、「未解決捜査課」のドアが開いて紀人が入って来た。タバコを吸ってきたらしく、彼の着ているスーツからは微かにタバコ独特の臭いが漂ってくる。
「捜査会議に参加した刑事から何か進展があったか聞き出そうと思ったが、まだ何もわかっていないらしい」
紀人の言葉に紫月は心の中で「そうだろうな」と呟く。身元や死因すらわからないというのに、捜査を進められるはずがない。目隠しをされて砂漠に放り出されるようなものだ。
「太宰、お前の協力者から何か助言を得られないか?」
不意にそう言われ、紫月の肩が跳ねた。協力者と言われてアノニマスと真夜の顔が浮かぶ。
「助言、ですか?」
「そうだ。犯人が遺体をバラバラにする心理なんかを知っているかもしれないだろう」
「俺、現場に行かなくて本当によかったかも……」
彰がそう言った時、「未解決捜査課」のドアが開いて紀人が入って来た。タバコを吸ってきたらしく、彼の着ているスーツからは微かにタバコ独特の臭いが漂ってくる。
「捜査会議に参加した刑事から何か進展があったか聞き出そうと思ったが、まだ何もわかっていないらしい」
紀人の言葉に紫月は心の中で「そうだろうな」と呟く。身元や死因すらわからないというのに、捜査を進められるはずがない。目隠しをされて砂漠に放り出されるようなものだ。
「太宰、お前の協力者から何か助言を得られないか?」
不意にそう言われ、紫月の肩が跳ねた。協力者と言われてアノニマスと真夜の顔が浮かぶ。
「助言、ですか?」
「そうだ。犯人が遺体をバラバラにする心理なんかを知っているかもしれないだろう」