Anonymous〜この世界にいない君へ〜
ストローでフラペチーノを吸い上げると、濃厚な甘さと冷たさが紫月の脳と舌を刺激していく。息を吐きながら紫月は「うま……」と呟いた。
スターバックスの店内にいる人物は少ない。そのため、アノニマスが来たことはすぐにわかった。花模様のレースがあるシフォン生地で銀色のドレスを着た彼女は、金髪ショートのウィッグの上に銀色のリボンのヘッドドレスをつけている。
「アイスコーヒーをトールでお願いします」
甘いものが苦手なアノニマスはコーヒーを注文し、店員から受け取ると、紫月の座るテーブルに迷うことなく足を進める。紫月は胸の高鳴りと同時に気まずさも感じていた。
(あの時のことは謝った方がいいだろうか……)
アノニマスが椅子に座る。紫月の前だ。彼女の服の柔軟剤なのか、それとも香水をつけているのか、花のような香りがふわりと紫月の鼻腔に入り込む。アノニマスは何を考えているのかわからないポーカーフェイスだ。
「ア、アノニマス……」
紫月が謝るために口を開くと、コーヒーを飲んだアノニマスが先に言う。
スターバックスの店内にいる人物は少ない。そのため、アノニマスが来たことはすぐにわかった。花模様のレースがあるシフォン生地で銀色のドレスを着た彼女は、金髪ショートのウィッグの上に銀色のリボンのヘッドドレスをつけている。
「アイスコーヒーをトールでお願いします」
甘いものが苦手なアノニマスはコーヒーを注文し、店員から受け取ると、紫月の座るテーブルに迷うことなく足を進める。紫月は胸の高鳴りと同時に気まずさも感じていた。
(あの時のことは謝った方がいいだろうか……)
アノニマスが椅子に座る。紫月の前だ。彼女の服の柔軟剤なのか、それとも香水をつけているのか、花のような香りがふわりと紫月の鼻腔に入り込む。アノニマスは何を考えているのかわからないポーカーフェイスだ。
「ア、アノニマス……」
紫月が謝るために口を開くと、コーヒーを飲んだアノニマスが先に言う。