Anonymous〜この世界にいない君へ〜

アノニマスは顎の下に手を開いたまましばらく考え込む。しばらくして彼女はコーヒーを一口飲み、口を開いた。

「犯罪心理学では、遺体を損壊するのには怨恨や食人のケース以外では大きく分けて三つの行動タイプがあると聞いたことがある」

「三つのタイプ？」

まず一つ目が廃棄・隠蔽型。多くの事件発覚のきっかけは遺体が見つかることである。遺体を発見されないためにバラバラに解体し、どこかに隠蔽する。遺体が発見されなければ被害者は行方不明者か家出人扱いとなり、その間に犯人は逃走や証拠隠滅ができる。

二つ目が公開・挑戦型。遺体の一部などを切り取ってわざと人の目がつきやすいところに置き、異常性を際立たせる。警察などの捜査機関への挑戦としてバラバラに解体するケースもある。

そして三つ目が制裁・見せしめ型。マフィアや暴力団などの過激組織が、組織を裏切った者や邪魔者に対して行う。復讐相手の見せしめや、制裁を行ったことを周囲にアピールするために行われる。