Anonymous〜この世界にいない君へ〜
(あれは……!)
ソファに座って部屋の中を見回した紫月は、すぐにこの部屋にある危険なものに気付く。泰造の座る椅子の後ろの壁に、大きな猟銃が飾られていたのである。
「あの、後ろの銃は……」
蓮が声をかけると、「ああ!」と泰造は後ろを振り返ってから笑顔を見せた。まるで宝物を見せる子どものように語る。
「昔、知人に射撃の魅力を教えてもらいましてね。それから銃にハマってしまったんですよ。昔はこいつで狩りをすることもあったんです」
「今は射撃などはしていないんですか?」
紫月の問いに、泰造は悔しそうに「ええ」と答えながら目元に触れる。
「ドライアイが歳を取ってから酷くなりましてね。銃はもう使えないんですよ」
「そうでしたか。射撃場にももう通われていないんですね」
「ええ。……ところで、刑事さんは何のご用件で?」
紫月は亜美の事件のことを話した。ニュースで知っていたらしく、「可哀想な事件ですよね」と頷いていた。悲しみを体で表現している泰造に対し、紫月は訊ねる。
ソファに座って部屋の中を見回した紫月は、すぐにこの部屋にある危険なものに気付く。泰造の座る椅子の後ろの壁に、大きな猟銃が飾られていたのである。
「あの、後ろの銃は……」
蓮が声をかけると、「ああ!」と泰造は後ろを振り返ってから笑顔を見せた。まるで宝物を見せる子どものように語る。
「昔、知人に射撃の魅力を教えてもらいましてね。それから銃にハマってしまったんですよ。昔はこいつで狩りをすることもあったんです」
「今は射撃などはしていないんですか?」
紫月の問いに、泰造は悔しそうに「ええ」と答えながら目元に触れる。
「ドライアイが歳を取ってから酷くなりましてね。銃はもう使えないんですよ」
「そうでしたか。射撃場にももう通われていないんですね」
「ええ。……ところで、刑事さんは何のご用件で?」
紫月は亜美の事件のことを話した。ニュースで知っていたらしく、「可哀想な事件ですよね」と頷いていた。悲しみを体で表現している泰造に対し、紫月は訊ねる。