Anonymous〜この世界にいない君へ〜
「これが、その女の子が行方不明になった時の登山リストです」

渡された紙には数人の名前があった。泰造は射撃をしていた人間だったためか、自身の山で狩猟をすることを許可していた。山に入ったその数人は、狩猟をするために山に入ったのだろう。

「女の子が山に入って行ったりはしませんでしたか？」

蓮の問いに男性は「さぁ」と首を傾げる。亜美が行方不明になった夕方は、男性の仕事が終わる時間帯である。しかし、中学生の女の子や高校生の男の子の姿があればすぐにわかると男性は言った。

「多分、あの日は若い子の姿は見てませんよ。まあ若い子で狩猟をやる方が珍しいかもしれませんしね」

男性の言葉だけを鵜呑みにするほど警察は甘くはない。紫月と蓮もすぐに男性が泰造から頼まれて庇っている可能性も考えた。しかし、その小屋には防犯カメラの存在はなく、亜美が行方不明になった日のことを確認する術はない。

「さて、これからどうしようか……」

まだ夢野快児が完全なる容疑者になったわけではない。紫月の協力者の推測に過ぎないのだ。
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