眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
「お前にとってローラの過去は未知のものだし知りたくないことだっていっぱいあるだろ。でも、ローラには絶望的な過去以外にも、家族や友人と過ごした幸せな過去がたくさんあったはずだ。ローラの性格だ、どんな時だってひたむきに一生懸命向き合って生きてきたんだろうさ。それを、その全てをお前は否定するのか?お前がそんなに器の小さい男だと思わなかったよ」
ふん、と言ってフェインは手に持っていた本を近くにポイッと投げ捨てた。
「いいか、お前にだって過去はある。生きてりゃ誰にだって過去も現在も未来もあるんだよ。彼女に執着するのは仕方ないにしても、彼女の過去を毛嫌いして否定するのは彼女自身を否定するのと同じことだと俺は思う。否定するならエルヴィン殿下本体だけにしろ。イヴはエルヴィン殿下じゃない。それだけはちゃんとわかっとけよ」
フェインにそう言われたヴェルデは、脱力したようにフェインを見つめていたが、いつの間にか笑っていた。
「ははは、はは……そう、だな」
項垂れながら両手で顔を覆い、ヴェルデは少しうめいた。
「俺は、俺はローラがそのうちイヴに惹かれてしまうんじゃないかと怖いんだ。エルヴィン殿下にそっくりなのにエルヴィン殿下とは全く違う優しいイヴに、ローラが奪われてしまいそうで、怖い……」
そう言って微かに震えているヴェルデの横に、フェインは静かに座った。
「そんなこと絶対起こらない、とは言い切れないかもだけど、お前はローラと一緒に過ごした今までの時間が無駄だと思うのか?ローラがお前に向けてる気持ちを信じてやれよ。そんなに簡単に奪われてしまうほどの絆だったのかお前たちは」
「……違う、と思いたい」
「おい、もっと自信持てよ。誰がどう見たってお前たちは気持ち悪いほどのラブラブは夫婦なんだから。それに、今一番不安なのはローラなんじゃないのか」
最後の言葉に、ヴェルデはハッとして顔をあげ、フェインを見た。
「エルヴィン殿下の子供を産んだイライザとか言うクソ女とその息子、そして末裔たちはずっとずっとローラを逆恨みして命を狙ってるんだ。それをエルヴィン殿下にそっくりな奴に告げられて正常でいられると思うか?きっと不安でしょうがいないだろ。それなのに、一番頼りたい人間がこんなじゃ、ローラは一体どうすればいいんだよ。一人で耐えろって言うのか?ふざけんなよ。お前はどんな時でもローラを守るって約束したんだろ、だったらこんなことしてる場合じゃないだろが」
フェインの言葉を聞きながら、ヴェルデは両目を見開いて自分の服の胸元をぎゅっと握り締めいていた。そうだ、自分はローラをどんな時でも守ると、そして幸せにすると約束したのだ。
パァン!
ヴェルデは自分の両頬を両手で思い切り叩いた。
「ありがとう、フェイン。目が覚めた。俺は本当に馬鹿だ」
真剣な眼差しで前を見つめそう言うヴェルデを、フェインはやれやれと言った顔で嬉しそうに眺めていた。
ふん、と言ってフェインは手に持っていた本を近くにポイッと投げ捨てた。
「いいか、お前にだって過去はある。生きてりゃ誰にだって過去も現在も未来もあるんだよ。彼女に執着するのは仕方ないにしても、彼女の過去を毛嫌いして否定するのは彼女自身を否定するのと同じことだと俺は思う。否定するならエルヴィン殿下本体だけにしろ。イヴはエルヴィン殿下じゃない。それだけはちゃんとわかっとけよ」
フェインにそう言われたヴェルデは、脱力したようにフェインを見つめていたが、いつの間にか笑っていた。
「ははは、はは……そう、だな」
項垂れながら両手で顔を覆い、ヴェルデは少しうめいた。
「俺は、俺はローラがそのうちイヴに惹かれてしまうんじゃないかと怖いんだ。エルヴィン殿下にそっくりなのにエルヴィン殿下とは全く違う優しいイヴに、ローラが奪われてしまいそうで、怖い……」
そう言って微かに震えているヴェルデの横に、フェインは静かに座った。
「そんなこと絶対起こらない、とは言い切れないかもだけど、お前はローラと一緒に過ごした今までの時間が無駄だと思うのか?ローラがお前に向けてる気持ちを信じてやれよ。そんなに簡単に奪われてしまうほどの絆だったのかお前たちは」
「……違う、と思いたい」
「おい、もっと自信持てよ。誰がどう見たってお前たちは気持ち悪いほどのラブラブは夫婦なんだから。それに、今一番不安なのはローラなんじゃないのか」
最後の言葉に、ヴェルデはハッとして顔をあげ、フェインを見た。
「エルヴィン殿下の子供を産んだイライザとか言うクソ女とその息子、そして末裔たちはずっとずっとローラを逆恨みして命を狙ってるんだ。それをエルヴィン殿下にそっくりな奴に告げられて正常でいられると思うか?きっと不安でしょうがいないだろ。それなのに、一番頼りたい人間がこんなじゃ、ローラは一体どうすればいいんだよ。一人で耐えろって言うのか?ふざけんなよ。お前はどんな時でもローラを守るって約束したんだろ、だったらこんなことしてる場合じゃないだろが」
フェインの言葉を聞きながら、ヴェルデは両目を見開いて自分の服の胸元をぎゅっと握り締めいていた。そうだ、自分はローラをどんな時でも守ると、そして幸せにすると約束したのだ。
パァン!
ヴェルデは自分の両頬を両手で思い切り叩いた。
「ありがとう、フェイン。目が覚めた。俺は本当に馬鹿だ」
真剣な眼差しで前を見つめそう言うヴェルデを、フェインはやれやれと言った顔で嬉しそうに眺めていた。