眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛

8 愛

「ローラ、入ってもいいかな」

 ヴェルデの声がして、ローラは心が躍る。入っていいも何も、ここはヴェルデの寝室でもあるのだ。ローラは小走りでドアの前まで来てドアを開ける。

「ヴェルデ様!」

 ローラに嬉しそうにキラキラとした瞳を向けられてヴェルデは一瞬面食らうが、すぐに困ったように微笑んだ。ヴェルデは部屋に入ると、部屋の真ん中まで来て振り返りローラを見つめる。その顔は真剣そのものでローラの胸はざわついた。

「ローラ、日中は本当にすまなかった。我を忘れてあんなこと……それに、俺の前に現れるな、だなんて酷いことも言った。本当にごめん」

 深くお辞儀をしてヴェルデは謝る。なかなか頭を上げようとしないヴェルデに、ローラは優しく手を伸ばした。

「ヴェルデ様、そんなに謝らないでください。こうやって会いにきてくださって私は嬉しいですよ」

 ヴェルデが静かに頭を上げると、ローラはまた嬉しそうに微笑んだ。その微笑みを見て、ヴェルデの心は一気に軽くなる。

「こんな俺のこと、許してくれる?」
「許すも何も、別に私は怒ってません。それに、あんな風になってしまったのはきっと……私のせいでもあるのですよね?」

 ローラが悲しげに聞くと、ヴェルデは返答に困る。

「私が、イヴに対して困って中途半端な反応をしてしまったから、ヴェルデ様も困ってしまったんだと思います。半分は私のせいでもあるんですから、むしろ私もヴェルデ様に謝らなきゃいけないです」

 そっと目を伏せてローラは静かにそう言うと、ヴェルデはローラの片手をそっと取った。

「俺は、イヴにローラを取られてしまうんじゃないかって不安だったんだ。エルヴィン殿下にそっくりなイブに、そっくりなのに性格は真逆で優しいイヴに、ローラは心惹かれてしまうんじゃないかって……本当は今でも不安なんだ」

 ヴェルデはそう言ってローラの手を優しく握る。
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