眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛

9 安心に包まれて

 ローラがふと目を覚ますと、目の前には美しい寝顔のヴェルデがいた。お互いに思いを伝え合いキスをした後、そのままヴェルデはローラをベッドへ運びとことん愛し尽くした。

 結婚してから体を交えたことは幾度もあるが、ヴェルデはいつも優しくローラを抱く。その度にローラはヴェルデの愛を感じ、自分が自分でなくなってしまうような、まるで溶けてしまいそうなほどの快感を覚え、そのまま力尽きて寝てしまうのだ。
 今回も同じようにいつの間にか気を失って寝てしまったが、いつも以上にヴェルデは優しく、かつ激しくローラへの愛おしさを全力でぶつけてきた。もう無理だといくら言ってもヴェルデが止まることはなく、ひたすらに愛を注がれて体も頭も心も全てが蕩けておかしくなりそうだった。

 ヴェルデの美しい寝顔を見つめながらローラは静かにため息をつく。自分はこんなに愛されていいのだろうか、愛されるほどの人間だろうかと戸惑ってしまう。

(でもそんなこと言ったらきっと怒られてしまうわね。まだわからないのか、もっとわからせないとダメなのかと言われてしまいそう)

 そんな風に思いながら苦笑していると、ヴェルデの瞼が少し動いて、静かに開いた。少し寝ぼけたように瞼をゆっくりと瞬かせていたが次第に意識がはっきりしてきたのだろう、アクアマリン色の綺麗な瞳がキラキラと輝きながらこちらを見つめている。

「……起きていたのか?」
「ついさっき目が覚めたばかりです」
「体、大丈夫?」

 ヴェルデは目が覚めたばかりだが、無理をさせすぎたということを自覚しているのですぐにローラの体の心配をした。
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