眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
ヴェルデとローラは街へ買い物にやって来ていた。サイレーン国には年に数回、他国から複数の行商がやってきて珍しい品物を販売しており、この日は二人でそれを見に来ていたのだ。
「すごいですね、こんなにも珍しい品が沢山……!」
ローラは目を輝かせてあちこちに視線を動かす。そんなローラを見て、ヴェルデは嬉しそうに言った。
「サイレーン国には無い果物や野菜、書籍や宝石や織物などいろいろなものがある。好きなだけ見て回っていいよ」
ローラに様をつけず、敬語ではなくフランクに話すことに慣れ始めたヴェルデだが、ローラはそのことにまだ少しこそばゆさを感じていた。
(夫婦になったのだから当たり前のことなのだけれど、やっぱりまだ恥ずかしいわ……自分から望んだことなのに。でも、ヴェルデ様だって頑張ってくださったのだから、私も早く慣れないと)
そんなことを思いながら歩いていると、ふとローラの目に珍しい織物が飛び込む。そこには色とりどりの織物があり、複雑な刺繍の施された衣服も多数置かれていた。
「いらっしゃい」
フードを深く被った店主が、ローラに声をかけた。
「とても綺麗な織物ですね」
フワッと微笑みながら言うローラを、フードから店主がチラリとみる。フードから少し覗く瞳はルビーのように赤い。その目と合い、ローラは心臓が跳ね上がる。
「っ!……エルヴィン殿下?」
ローラの発した言葉はか細い。だが、その一言は店主の耳にも、そして隣にいたヴェルデにも聞こえていた。
「あんた、まさか……ローラ姫?」
フードを片手でおろし、驚愕の眼差しでローラを見つめる店主。そして、そんな店主を見てローラはついに息を呑んだ。
「どう、して……」
ローラの異変に気づいたヴェルデが、ローラの前に立ち視界を遮る。ヴェルデは店主を睨みつけた。
「すごいですね、こんなにも珍しい品が沢山……!」
ローラは目を輝かせてあちこちに視線を動かす。そんなローラを見て、ヴェルデは嬉しそうに言った。
「サイレーン国には無い果物や野菜、書籍や宝石や織物などいろいろなものがある。好きなだけ見て回っていいよ」
ローラに様をつけず、敬語ではなくフランクに話すことに慣れ始めたヴェルデだが、ローラはそのことにまだ少しこそばゆさを感じていた。
(夫婦になったのだから当たり前のことなのだけれど、やっぱりまだ恥ずかしいわ……自分から望んだことなのに。でも、ヴェルデ様だって頑張ってくださったのだから、私も早く慣れないと)
そんなことを思いながら歩いていると、ふとローラの目に珍しい織物が飛び込む。そこには色とりどりの織物があり、複雑な刺繍の施された衣服も多数置かれていた。
「いらっしゃい」
フードを深く被った店主が、ローラに声をかけた。
「とても綺麗な織物ですね」
フワッと微笑みながら言うローラを、フードから店主がチラリとみる。フードから少し覗く瞳はルビーのように赤い。その目と合い、ローラは心臓が跳ね上がる。
「っ!……エルヴィン殿下?」
ローラの発した言葉はか細い。だが、その一言は店主の耳にも、そして隣にいたヴェルデにも聞こえていた。
「あんた、まさか……ローラ姫?」
フードを片手でおろし、驚愕の眼差しでローラを見つめる店主。そして、そんな店主を見てローラはついに息を呑んだ。
「どう、して……」
ローラの異変に気づいたヴェルデが、ローラの前に立ち視界を遮る。ヴェルデは店主を睨みつけた。