眠りの令嬢と筆頭魔術師の一途な執着愛
「説明した通り、俺たち兄弟はエルヴィン殿下の末裔にあたる。エルヴィン殿下は当時ティアール国で斬首されたそうだが、エルヴィン殿下と結婚し子供を産んだイライザとその子供であるユンは、ギルジェ国に追放されたんだ」
ティアール国とギルジェ国は当時敵対していた。敵対している国に放り投げると言うことは、のたれ死ねと言っているようなものだ。実際、イライザたちの生活はかなり苦しかったようだ。言葉にできないようなことにも手を染め、イライザは何とかユンを育て上げたらしい。
そして、イライザは息子のユンにこう言い聞かせていたそうだ。
「こうなったのも全てあのローラという女のせいよ。そもそもあの女さえいなければ私は今頃王妃としていられるはずだった。お前だって本当は王位継承があるはずなのに。あの女、死ねばよかったものをただ眠り続けるだなんて、忌々しい。いい?この血筋を絶やすことなく、あの女がもしも目覚めるようなことがあれば絶対に殺しなさい。お前ができなくても、お前の子供、それがダメならまたその子供……未来永劫、絶対にあの女を生かしてはならないわ。もしあの女が目覚めることなくそのまま死ぬのならば、それを見届けなさい。あの女の死があってこそ、私たちは報われるのよ」
そうして、イライザの呪いのような遺言は、ユンを通して末裔にまでずっと受け継がれてきた。
イヴの話を聞いて、ヴェルデは怒りを隠せなかった。何がローラのせいだ、ローラはむしろ被害者なのに、勝手に恨んで勝手に死を求めるなど許せない。エルヴィン殿下とイライザのせいでローラは百年も眠り続けることになったのだ。しかも、エルヴィン殿下に命を狙われていたと知ってたからこそ死を受け入れようとしていたにも関わらず、だ。
ローラの当時の絶望、そして目覚めてからの絶望は計り知れない。ヴェルデがどんなにローラのそばに居ようとも、受け止めようとしていても、本当の意味でその絶望を受け止め切れているのか、ヴェルデ自身でさえ不安になるほどなのにだ。
ヴェルデは怒りに満ちた顔でイヴを見つめるが、イヴはその瞳を見ても動じない。むしろ、淡々とそれを受け止めている様子さえある。フェインはイヴの様子に不思議なものを感じていた。
「ということは、あんたもローラ様を狙っていなきゃおかしいだろ。それなのに、どうして逃そうとしたんだ?」
ティアール国とギルジェ国は当時敵対していた。敵対している国に放り投げると言うことは、のたれ死ねと言っているようなものだ。実際、イライザたちの生活はかなり苦しかったようだ。言葉にできないようなことにも手を染め、イライザは何とかユンを育て上げたらしい。
そして、イライザは息子のユンにこう言い聞かせていたそうだ。
「こうなったのも全てあのローラという女のせいよ。そもそもあの女さえいなければ私は今頃王妃としていられるはずだった。お前だって本当は王位継承があるはずなのに。あの女、死ねばよかったものをただ眠り続けるだなんて、忌々しい。いい?この血筋を絶やすことなく、あの女がもしも目覚めるようなことがあれば絶対に殺しなさい。お前ができなくても、お前の子供、それがダメならまたその子供……未来永劫、絶対にあの女を生かしてはならないわ。もしあの女が目覚めることなくそのまま死ぬのならば、それを見届けなさい。あの女の死があってこそ、私たちは報われるのよ」
そうして、イライザの呪いのような遺言は、ユンを通して末裔にまでずっと受け継がれてきた。
イヴの話を聞いて、ヴェルデは怒りを隠せなかった。何がローラのせいだ、ローラはむしろ被害者なのに、勝手に恨んで勝手に死を求めるなど許せない。エルヴィン殿下とイライザのせいでローラは百年も眠り続けることになったのだ。しかも、エルヴィン殿下に命を狙われていたと知ってたからこそ死を受け入れようとしていたにも関わらず、だ。
ローラの当時の絶望、そして目覚めてからの絶望は計り知れない。ヴェルデがどんなにローラのそばに居ようとも、受け止めようとしていても、本当の意味でその絶望を受け止め切れているのか、ヴェルデ自身でさえ不安になるほどなのにだ。
ヴェルデは怒りに満ちた顔でイヴを見つめるが、イヴはその瞳を見ても動じない。むしろ、淡々とそれを受け止めている様子さえある。フェインはイヴの様子に不思議なものを感じていた。
「ということは、あんたもローラ様を狙っていなきゃおかしいだろ。それなのに、どうして逃そうとしたんだ?」