ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「……ねぇ、タカさんは?」

「……まだ来てないのかも」

「早く来て〜。気まずい」

ドラトラに出入りする人間には、二通りしかいない。

一つは、ここの管理者と仲が良い、または慕っている男。

もう一つは、その男の彼女と、彼女の友達。

ドラトラにいる人はほとんどが男で、さっきのカウンターテーブルに並んで座っていた人間も全員、男だった。

女であるにも関わらず、あたしたち四人がここに出入りできるのは、七海の彼氏、タカさんがここの管理者と仲が良いからだけのこと。

言ってみれば、あたしたちは七海がタカさんと付き合っているおかげで、ここに出入りすることができる。

ドラトラに通い始めたのは高校一年のときの話で、こうも通っていれば顔見知りになるのは当然のこと。

でもあたしたちの間に馴れ合いなんかはほとんどなくて、タカさんがいないドラトラは、あたしたちにとって居心地の悪いものになる。
< 10 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop