ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「もういいよ。話したって無駄だし。あたしが気に入らないんでしょ? だったら、一緒にいる意味なんてないよね」

丁度いい。

今更抜け出すことなんてできなくて、大概嫌気がさしていたところだった。

思ってもみなかったいい機会だ。

どうせ長続きしないんだし、この辺でおさらばしてやる。

三人に背を向けて、聞こえてくる罵声から逃げるように、その場を後した。

三人から切られたんじゃない、あたしがあの三人を切ってやったんだ。

ひたすら歩きながら頭に浮かんでくるのは、自分を奮い立たせるための虚栄に塗れた言葉だけで、それを自覚した途端、視界が涙でボヤけた。

俯いて周りに気づかれないようにひた隠しにして歩くけど、そのせいで頬を伝うことなく溢れ出した涙は、勢いを増し当分止まりそうにもなかった。
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