ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
近くにある寂れた公園が目に入り、あたしは迷わずそこのベンチに座って心を落ち付けようとした。

地元まで戻ってきたのはいいものの、こんな顔じゃ家に帰れない。

きっとママが店に出る準備をしているはずで、玄関から入っても家の中で鉢合わせしてしまう。

カーディガンの袖で溢れ出る涙を必死に拭いながら、胸を締め付けるような苦しさを感じ、そのせいで胸に大きな穴があいてしまいそうだ。

昔から気の強い顔立ちのせいで、勝手なイメージを付けられることは多かった。

次第に本当の自分と周りから見た自分の誤差が出始め、プライドとコンプレックスの塊になってしまい自分を出すことができなくなった。

紗理奈たちにあんな大口叩けたのは、プライドが負けることを許さなかったからだ。

そんな自分の中にあるしょうもないプライドを、何度捨てたいと思っただろう。
< 102 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop