ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
敬語を使っているトラの話し相手は先輩だろうか。
顔を見なくてもわかる。
トラの先輩の言葉には節々に棘があり、嫌味っぽく日向龍之介の名を口にした。
「ははっ、お守りって」
「だってそうだろ? あんなボンボンの坊ちゃん、金持ちじゃなかったらとっくに潰されてるよ」
「だな。コジローまで一緒に潰される必要ないんだぞ? 俺らが口利いて……」
「いやいや、いいですよ。迷惑かけるわけにいかねぇし、リュウのことは俺が一番わかってるし、案外楽なもんですよ?」
トラたちはあたしのすぐ後ろで立ち話をしているのか、普通に会話が聞こえてくる。
トラたちの会話を聞いて、あたしは幻想をぶち壊されたような気分になった。
顔を見なくてもわかる。
トラの先輩の言葉には節々に棘があり、嫌味っぽく日向龍之介の名を口にした。
「ははっ、お守りって」
「だってそうだろ? あんなボンボンの坊ちゃん、金持ちじゃなかったらとっくに潰されてるよ」
「だな。コジローまで一緒に潰される必要ないんだぞ? 俺らが口利いて……」
「いやいや、いいですよ。迷惑かけるわけにいかねぇし、リュウのことは俺が一番わかってるし、案外楽なもんですよ?」
トラたちはあたしのすぐ後ろで立ち話をしているのか、普通に会話が聞こえてくる。
トラたちの会話を聞いて、あたしは幻想をぶち壊されたような気分になった。