ファミリア・ストレンジャー㊤【完】

七海はスマホを片手にキョロキョロしながら、タカさんの姿を探しているようだ。

七海はタカさんの彼女だという、正当な理由があるので気まずさを感じることはない。

一方、紗理奈と彩美は身体を小さくして気まずそうに、目線をテーブルに落としていた。

そんな風に居心地悪そうにするなら、来なければいいのに、彼女たちにはそんな思いをしても、どうしても来たい理由があるらしい。

「ミヤちゃん！」

あたしよりも先に反応した紗理奈と彩美が顔を上げ、続いて遅れをとったあたしもそれに習った。

「来たなら教えてよ！ あっち、行く？」

「だって朝陽、中にいないんだもん。行っていいの？」

「当たり前」

口にはしないけど羨ましそうにあたしを見る紗理奈と彩美に、「ちょっと行ってくるね」と言い、そのテーブルを離れて朝陽の後に続いた。