ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
そんなことを考えながら駅まで歩く帰り道、トラのことを思い出した。

『お前みたいに、不器用で、中途半端な奴は、気をつけねぇとそのうち一人になっちまうぞ? お前、そうはなりたくねぇから、そこにしがみついてんだろ?』

トラの言う通りだった。

トラの言った通り、あたしは一人になった。

こんな自分が情けない。

だからもう二度とトラには会いたくない。

それに、あの話を盗み聞きしてしまいトラに対する不信感は募るばかり。

もう二度と会いたくないと思っているし、ドラトラにも行かないからあたしには関係のない話なのに、可笑しい話だ。

学校近くの駅が見えてきて、ロータリーには青林と城東の学生の姿がちらほらある。

その中にいた、やけに目立つ金髪のギャル二人と目が合った。
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