ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
あの頃よりも派手になって、見るからに夜の仕事をしてそうな二人に手を引っ張られているあたしは、周りからどう見えているんだろう。

『マジ、コイツの目ムカつく!』

『あたしらのことなめすぎ!』

中学生の頃とは違い、暴力だけでは済まないかもしれない。

痛いのは、もう嫌だ。

いや、痛いだけだったらまだいい。

もしこの着いて行った先に、男がいたらーー。

「は? 歩いてよ。何急に止まってんの?」

「……話なら、ここで聞きます」

あたしの腕を掴んでいるマリさんの顔を見上げ、そう言うと馬鹿にしたような目で、「びびってんの?」と言った。

中学の頃を思い出す。

よく呼び出されることがあったが、それに応じないとよく言われたもんだ。

『びびってんの?』

それはあたしの先輩たちの、常套句だった。
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