ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「……はいっ。あの、ミヤ、大丈夫なんですか?」

怯えきった紗理奈が、ボロボロのあたしを見て泣きそうな顔をしながら、二人に問いかけた。

暴力を目の当たりにしたのは初めてだったのか、彩美と七海も同じような顔で口を噤んでいる。

「大丈夫だって。こんくらいで死なないよ。てか何? ミヤを懲らしめてほしいから、あたしらに言ったんじゃないの?」

カナミさんが言ったことは正論だ。

なのに今更になって、庇う度胸もないくせにそんなことを言うなんて、やっぱりコイツらは馬鹿だ。

「……す、すみません」

「あ、それと、ドラトラにも取り入ろうとしてたんだっけ?」

話を振られた紗理奈は、もう逃げられないと思ったのか、引きつった笑顔であたしを見下ろしながら口だけを動かした。
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