ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「コジローさん、ですよね? コジローさんには関係ありません!」

「うん、そうだな。関係ない。でも、こんな場面目の当たりにして、しかもコイツが知り合いだから、見逃すわけにもいかねぇだろ?」

マリさんが果敢にもトラに食ってかかり、だけどトラはそんなマリさんを相手にしない。

マリさんを宥めるように落ち着いた声を出し、全身で自分はお前たちを責めているわけじゃないと、そうアピールしていた。

「こんだけボロボロにされたら、コイツも反省しただろうし。俺の顔、立ててくんねぇ?」

「……カナミ」

マリさんがどうするのか、カナミさんに窺うように名前を呼んだ。

ここまでくれば、もう悪魔の勝ちだ。

「……わかりました。あの……」

「心配すんな。別に何かやり返そうなんて思ってねぇよ。ただ、もうコイツには手出すな。な? 俺からのお願い」
< 122 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop