ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
タオルを水に浸けて絞り、ラップに包んで電子レンジに入れると、時間を指定して加熱を始めた。

「ミヤちゃんが朝起きてくれないから、インスタントのお味噌汁で我慢した」

「……ごめん。でも珍しいね。起こしてこないなんて」

「ベッドに傷だらけで泣き腫らした目で眠る我が子を、起こせるわけないでしょ」

どうやら、朝の時点でバレていたらしい。

ピー、と数回、加熱終了を知らせる電子音が鳴り響き、蒸気が立つタオルを取り出したママは、それを二つ折りにしてあたしの顔に被せた。

「熱い! 痛い!」

「すぐ慣れる! 我慢しなさい!」

被せるだけじゃなくママが上から抑えるもんだから、引き剥がそうにも力を入れれば痛む腕では到底無理だ。

熱さはすぐに収まったけど、痛みが引くのには時間がかかるようで、それに歯を食いしばって耐えていた。
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