ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「みゃーこは何が欲しい?」

二度目の質問を、聞き流すことはできなかった。

「……欲しいって言っても、貰えないもの」

「大抵そういうもんだろ。言ってみろよ」

いつものあたしだったら絶対言わないし、況してやさっきみたいに弱音なんて吐かないのに。

それでも言ってしまったのは、崇められているトラの一般人らしい部分を垣間見てしまったからだ。

「……トラと日向龍之介みたいな、唯一無二の友達が欲しい」

「よし、わかった。じゃあ俺がみゃーこの友達になってやる」

やけにあっさりとあたしの願いを叶えようとしたトラに、慌てて向き直ると、当の本人は優雅にタバコを咥えて火を点けていた。
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