ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
トラはあたしの口から出てくる言い訳じみた言葉を、次々と潰していく。

だけどそれにあたしは、嬉しさを感じていた。

「……どんなときでも、味方でいてくれる?」

「おう」

「裏切ったり、見捨てたりしない?」

「あぁ」

「……ねぇ、トラ」

「まだあんのかよ」

一番言いたい最後の一言を吐き出すのが怖くて、隣でタバコを吸うトラの横顔を見上げた。

少し前までは物凄く遠い場所にいたのに、今では隣に座って、こんな話をしているなんて、おかしな話だ。

トラがあたしの友達になるなんて、実感が湧かないから、どうせなら何でも言ってしまえと思った。

あたしの視線に気づいたトラの右腕に額を押し付け、少し胸に浮かび上がった恥じらいを隠した。
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