ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「もう起きるのか?」

「うん。だから、朝ご飯一緒に作ろうと思って」

パパはソファーの上で「うぅーっ、んっ」と大きな呻き声を上げながら、手足を目一杯伸ばすと、力を抜いた身体をソファーに投げ出した。

数秒その状態で固まり、急にすっくと立ち上がると、お味噌汁を作るために鍋を出していたあたしの隣を通り過ぎ、冷蔵庫へ向かった。

「美夜子、見て。今朝、港出るとき漁師さんにもらった。初鰹」

「え、ほんとだ」

「すぐ食べれるように、さばいて炙ってもらって持って帰ってきた。一時間寝かせるといいって言われたから、丁度いい頃」

長距離トラックの運転手をしているパパは、こうしてよく現地でもらった新鮮な食材を持って帰ってきてくれる。

週末にしか帰ってこれないから、クール宅急便で送ってくることもあるけど、こうして手土産として持ってくることも少なくない。
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