ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「みゃーこは良くも悪くも素直で、真っ直ぐだろ。好きなものは好きで、嫌いなものは嫌い。自分の中のポリシーがはっきりしてるから、嘘がつけない」

「……」

「それにみゃーこは器用じゃない。敵も多いし、打算的じゃない。器用だったら、俺みたいに上手く隠せるんだよ」

「……悪かったわね、不器用で」

「……自分に素直でいれるみゃーこが羨ましかった。全否定されたときも、まるで押し殺してた自分に言われてる気分だった」

「……」

「羨ましい反面、みゃーこの近くにいると苦しくなった。取り繕った自分が鬱陶しくて、やめたくなった」

「……え、じゃあ消えちゃったのって……」

「まぁ、半分みゃーこのせい?」

笑いながらそう言うトラに、あたしを責めている感じは見受けられなかったけど、知らず識らずのうちにトラが苦しんでいたなんて、どういう反応をしていいのかわからなかった。
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