ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
あたしはそんなリュウの椅子の横に座り込んで、ため息を吐いた。

「……リュウとトラが羨ましい」

「……」

「あたしも男になりたい。絶対、男より女の方が面倒くさい」

リュウが座っている回転式の椅子が軋む音がして、リュウがあたしに振り返ったのがわかり、顔を上げた。

リュウはあたしを不機嫌そうに見下ろしていて、てっきり邪魔だと言われると思っていた。

「あのな」

だけど、その言葉の切り出しに、別の話だと思い、少し身構えた。

「女は面倒くさいって、女が言うからだめなんだよ」

「……だって、面倒くさいもん」

「面倒くさいことは男もわかってるんだよ。男より色々あるとか、男だって馬鹿じゃないからわかってる。何も男の方がなんて思ってない」

「……」

「でもな、それを自分らで言われたらわかったわかったってなるんだよ。だからお前らは面倒くさいんだ」
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