ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
リュウの言った言葉は、あたしの中にスッと入ってきて、反論の余地がなかった。

いつの間にかあたしの中で、リュウはお兄ちゃんのような位置付けになっていて、リュウが言うことには素直に聞ける自分がいた。

だから今言われたこともよく意味がわかったし、あたしも面倒くさい女の一人なんだと再認識した。

「……別に、アイツらと仲良くしなくても、トラがいるだろ」

「……」

「お前、面倒くさいとか言うくせに、女の友達欲しいとか言わないよな?」

「えっ? お、思ってないよ?」

思わず動揺したあたしを見破り、鼻で笑うと「わがまま」と吐き捨てられた。
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