ファミリア・ストレンジャー㊤【完】

「うわぁ、降り出したねぇ」

ドラトラに入ろうとしたとき、曇っていた空から雨粒が落ちてきた。

天気予報は午後から雨だったので、朝家を出るとき二日酔いのママに、折り畳み傘を持たされた。

雨が地面に叩きつけられる音が響き、そこら中に雨のにおいが蔓延した。

「入ろ入ろ〜。濡れちゃうよ」

彩美の声で中に入り、既に中にいた人たちに軽く会釈をして、もう定位置となってる端のボックス席に座った。

隣の席ではテーブルにトランプを並べて、五人で大富豪をする朝陽たちの姿があった。

「ミヤちゃん、お疲れ〜。雨降ってた？」

「今降り出したよ。大富豪してるの？」

「うん。賭けてるけどねぇ。俺、今八千円勝ち〜」

スクールバッグをソファーに置いて、朝陽が手招きをしてくるので三人に目配せして、あたしは朝陽たちの中に混ざった。