ファミリア・ストレンジャー㊤【完】

「あたし賭けないよ？」

「えぇ、おもんねぇじゃーん。ミヤ、ノリわるーい」

手にトランプをたくさん持った海里が、机に項垂れて「負けすぎてやべぇ。ミヤが入らねぇと俺がカモられる」と嘆いている。

「やるって言い出したのお前だろ？ 大体、毎回カモられるのに学習しろよ」

「うるっせーよ。これは誰かがイカサマしてるとしか思えない」

「今日は一枚何円なの？」

「三百円。はい、上がり〜」

朝陽たちはよくトランプを使って暇つぶしで賭け事をするが、あたしは観察するだけで混ざることはない。

大体が大富豪で賭けていて、手札が多ければ多いほど、それだけお金を出さなければならない。

今日は低めの値段だが、高いときは一枚千円なんて日もある。