ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
向かい側の壁に寄りかかり朝陽たちが入って行ったドアを見ていると、向こう側からそれが開かれた。
朝陽と海里が出てきたのかと思い期待して見ていると、そこから現れたのは黒髪で、切れ長の目をした、背の高い男。
こんなに間近で見るのは初めてだが、この男は間違いなく、あの日向龍之介だ。
もしかしたらあたしがここにいることに怒るかもしれない。階段から突き落とされるかもしれない。怒鳴られるかもしれない。
そんなことを思ってしまうほど、この男が纏う雰囲気は近寄り難くて恐ろしい。
紗理奈たちが言う通り、トラとは違い挨拶をすることすらままならなくて、あたしは目を合わせたまま動けなくなった。
「ミヤちゃーん? 何してんの? 中においで」
その声にハッとして日向龍之介の向こう側を見ると、そこから動かなかった日向龍之介が、ようやくそこから動いて奥にある観音開きの扉へ向かっていった。
朝陽と海里が出てきたのかと思い期待して見ていると、そこから現れたのは黒髪で、切れ長の目をした、背の高い男。
こんなに間近で見るのは初めてだが、この男は間違いなく、あの日向龍之介だ。
もしかしたらあたしがここにいることに怒るかもしれない。階段から突き落とされるかもしれない。怒鳴られるかもしれない。
そんなことを思ってしまうほど、この男が纏う雰囲気は近寄り難くて恐ろしい。
紗理奈たちが言う通り、トラとは違い挨拶をすることすらままならなくて、あたしは目を合わせたまま動けなくなった。
「ミヤちゃーん? 何してんの? 中においで」
その声にハッとして日向龍之介の向こう側を見ると、そこから動かなかった日向龍之介が、ようやくそこから動いて奥にある観音開きの扉へ向かっていった。