ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「よっし、ミヤちゃん。ここ座っていいよ」

ソファーの形に戻した朝陽が、自分の隣をポンポン叩いてあたしを呼び、あたしを真ん中に挟んで二人はソファーに座った。

「あたしこれしたことないからわかんないよ」

「ゲームしねぇの?」

「うん。昔はしてたけど、今の全然わかんない」

「じゃあまず俺と朝陽の見てろよ。コントローラー二つしかないから、後で交代な」

このゲームは現実のサッカーチームとリンクしているみたいで、二人は慣れた手つきでチームを選び、キャラクターを決めていた。

「まぁたそれかよ」

「お前こそ前と同じじゃねぇか」

窓は閉めているのに雨の音が部屋の中にまで聞こえてきて、さっきより雨は激しさを増しているようだった。

傘は持ってきているけど、雨の中帰ると思うと憂鬱になる。
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