ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
あたしが今まで見た限りで、二階に上って行ったのはトラと日向龍之介しか知らない。

だから今まで朝陽と海里までが二階に来れるとは思わなかったし、部外者に近いあたしが上がれるとも思わなった。

既読をつけてしまったので、とりあえず『三人でゲームしてる』とだけ返信した。

送信してすぐに既読が一気に三つもつき、三人がスマホを見ながらあたしのことを話しているのが想像できる。

人はすることがないと、すぐに悪口を言うのだ。

それが女であって、その場にいない人間が一人であれば尚更のこと。

心の中がどんどん淀んで行くのを感じて、アプリを落としてスマホをカーディガンのポケットの中に入れた。

そのうち返信はくるだろうけど、今は見たくなかった。
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