ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「ここって、あの二人しか来ちゃいけないのかと思ってた」

ようやく試合が始まったテレビ画面を見ながらそう呟いた。

「あー、二階? 確かに俺らもほとんど来ないなぁ。でも、禁止されてるわけじゃないんだよ。さすがに、奥の部屋には俺らも行ったことないし、行かないけど」

「奥って、あの観音開きの?」

「そー。あそこは、龍之介くんと虎士郎くんの部屋みたいなもんだからな。でもそれ以外は特に決まってない。でもあの二人とよっぽど仲良くねぇ限り、二階に来ようとする奴なんていねぇよ」

「だからだよね。あの二人しか入れないみたいな風潮があるのって」

そういう二人はよっぽどあの二人と仲が良い人種なのか、呼び方にも親密さが現れていた。
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