ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
あたしの言葉の続きを不思議そうに待っているトラは、タバコは吸わずに右手の指の間に挟んでいるだけで、どんどん短くなるタバコは濡れた地面に灰を落とした。
「トラには、日向龍之介っていう、絶対的な存在がいる。周りからもそれは確立された存在で、二人のことは噂程度でしか知らないけど、ずっと一緒なんでしょ?」
「リュウとは、中学からだな」
「あたしは違う。……あたしにはトラにある目に見えない価値が、一つだってない」
目には見えない友情、仲間、居場所。
それらはあたしにとって、何よりも手に入れ難い価値あるものだ。
欲しいと思って手に入るものじゃない。
あたしがこんなに渇望しているのに、それはいつまでたっても手に入らない。
「トラには、日向龍之介っていう、絶対的な存在がいる。周りからもそれは確立された存在で、二人のことは噂程度でしか知らないけど、ずっと一緒なんでしょ?」
「リュウとは、中学からだな」
「あたしは違う。……あたしにはトラにある目に見えない価値が、一つだってない」
目には見えない友情、仲間、居場所。
それらはあたしにとって、何よりも手に入れ難い価値あるものだ。
欲しいと思って手に入るものじゃない。
あたしがこんなに渇望しているのに、それはいつまでたっても手に入らない。