ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「お前、中途半端だな」

「……」

「その世界から抜け出せないってわかってるくせに、ここに来れば朝陽たちの方に逃げて、都合よすぎじゃねぇの?」

「そんなつもりっ、ただ、朝陽たちが呼んでくれるし、紗理奈たちだって……」

「人のせいかよ。まぁいいけど」

トラは本当にどうでもいいのか、優雅に煙を吐き出してあたしを見下ろす。

あたしはトラに叱られている気分だった。

トラがあたしの行動のすべてを否定しにかかっているのが不快で、背を向けてここから立ち去りたかったけど、トラの視線がそうはさせてくれない。

「お前みたいに、不器用で、中途半端な奴は、気をつけねぇとそのうち一人になっちまうぞ? お前、そうはなりたくねぇから、そこにしがみついてんだろ?」

トラのその言葉に、胸の奥が嫌な音を立てて軋んだ。

続けてトラは、「あ、それとーー」と言葉を発し、それに耳を塞ぎたくなった。
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