ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
「ないよ。それに、朝陽だってあたしのことをそういう風に見てない」

「えぇ〜っ、お似合いだと思うけどなぁ」

ドラトラに着きそうなのでそれにはもう言葉を返さず、話題が移行するのを待った。

彩美がすぐに新しい話題を口にして、紗理奈と七海はそれに群がり、あたしの話題はそこで終わる。

それにホッとして、ようやく着いたドラトラを見上げ浮き足立つ三人を、あたしは冷めた目で見ていた。

「ねぇ、今日はリューノスケさんとコジローさん、いるかな!」

「いたらいいけどね〜」

黒い扉を押して中に入ると、一階のカウンターテーブルで顔見知りが何人かいて、入ってきたあたしたちを一斉に見た。

その視線に頭を下げて端のテーブルに座り、声を小さくして四人でヒソヒソ話を始めた。
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