ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
金曜日のあれが、彼女たちを結束させ、その対象にあたしがなってしまったらしい。

でもあたしは自ら席を立ち、三人の元へ行ってやる気は起きなかった。

そんなことをしてしまえば、笑いのネタにされるだけで、周りから見てもそれほど滑稽なことはないからだ。

女はこういう小さな変化に敏感で、何人かチラチラと視線を送っているから、この空気に気づいているんだろう。

不意に、トラの言葉を思い出した。


『お前みたいに、不器用で、中途半端な奴は、気をつけねぇとそのうち一人になっちまうぞ?』


違う。あたしが捨ててやったんだ。

束になってからじゃないと向かってこれない、程度の低い女たちをあたしが自ら切り捨てた。

だからあたしは可哀想なんかじゃないし、今この現状に、打ちのめされてなんかいない。
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