ファミリア・ストレンジャー㊤【完】
きっとその暴力には、大して理由なんかない。

よっぽどあたしが気に入らなかった先輩たちの最後の警告を無視したばかりに、起きてしまった仕方ない事態だった。

だけどあたしに植え付けられた痛みと恐怖は消えなくて、先輩に会えばまた暴力を受けるんじゃないかと思った。

あの時は自分がこんな目に合う意味が理解できなかったが、今でこそ自分のような後輩がいれば腹は立つなと、理解できるような気もする。

噂はすぐに回りあたしを見て友達は心配こそするものの、少しずつあたしと距離を置いていった。

怪我を負って帰ってきたあたしを見てママは病院に行けくらいしか言わなかったし、あたしもそれについて喋ることはなかった。

あたしは最後まで意地と根性だけで学校に行き続け、あれ以来気が済んだのか接触してこなかった先輩たち。

結局、あたしの粘り勝ちだと思う。
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