百日後に離婚予定のはずが、溺愛モードに入りました!
 私は窓の外を見てため息をついた。
 窓の外に広がるのは手入れされた庭園。
 花壇には花が咲き誇り、明るい日差しが注ぐ中、二羽の小鳥が楽しげにさえずり、連れ立って飛んでいく。

「仲が良さそうで羨ましい」
 またため息がこぼれる。

 普通は結婚したばかりならば幸せの絶頂にいるのではないだろうか。
 なのに私は憂鬱で仕方がない。
 昨日の結婚式のあと、私の夫になった人は言ったのだ。

「結婚はしたが、私には君と今夜をすごす意志はない。百日たったら、そのときには……」
 彼は顔を伏せて言葉を濁す。

 ああ、と悟った。
 私とは結婚したくなかったんだ。百日後には離婚したいと、そういうことだろう。

「だったら結婚しなきゃいいのに」
 私はまたため息をついた。



 彼と出会ったのはお父様の知り合いの侯爵様の主催する夜会だった。
 お父様とお母様が行く予定だったのだけど、お母様が熱を出してしまったので私が代理で出席することになったのだ。
 夜会では父は貴族の紳士と仕事の話を始めて、私は邪魔にならないように壁際に佇んで眺めていた。
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