百日後に離婚予定のはずが、溺愛モードに入りました!
 彼女らは私を見てくすくすと笑い合う。
 誰にも誘われないなんて、とか言って笑ってるんだろうな。

 居心地が悪くなってしまい、夜風にでもあたろうかと思ってバルコニーに出た。
 ふと人の気配に気づいて振り返ると、柱の陰に隠れている『アラン様』がいた。いつからここにいたのだろう。
 目があった彼は驚愕で固まっている。

「アラン様、どちらにいらっしゃいますの?」
 探す声に彼を見ると、無言で首を振っている。
 会場に目を戻すと、彼を探す令嬢と目があった。

「あなた、そちらにアラン様はいらして?」
「いいえ、私だけです」
 とっさに私はそう答えた。

「どちらにいらしたのかしら。次は私の番ですのに」
 令嬢はため息をつきながら歩き去った。

「もう大丈夫ですよ」
 私が言うと、彼はあからさまにほっとした。

「ありがとう。付き合いがあるから仕方なく来るが、毎回あんな感じで困ってるんだ」
「大変ですね」
「そうなんだよ。女性につきまとわれ、男どもからやっかまれ、かといって欠席するとどうして欠席したんだと文句を言われ」
 はああ、と深い溜め息をつく様子に、思わずくすりと笑ってしまう。
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