海よりも深くて波よりも透明
「すぐ穴開ける…」

「と思って、こっちも」



夏葉がそう言ってピアッサーを出してきた。



用意良すぎだよ…。



「開けてやる」



そう言った夏葉はピアッサーを手に持ってあたしの左耳に触れた。



夏葉が開けてるのとは反対側の耳。



夏葉の綺麗な顔がすぐそばにあって、あたしの耳を見てる。



「耳ちっせえな」



言いながら、あたしの耳を軽く撫でる。



その瞬間、体がぞくぞくし出した…。



何この感覚!?



前に夏葉に唇をなぞられたときと同じ感覚だ。



あたし、変態なのかな…。



「開けたい位置とかあるか?」

「おまかせします…」

「了解」



ピアッサーと耳たぶを消毒してから、夏葉がピアッサーを握った。



なんか手慣れてる…。



夏葉に触れられた耳の部分が相変わらずなんだかぞくっとする。



「行くぞ~」



瞬間、痛みが突き抜けた。



一瞬だった…。



「しばらくはファーストピアスしてろよ?」



そう言ってキラキラした石のピアスをあたしの耳にそのまま入れてくれた。



「こっちは?」



そう言って、反対の右耳に触れる。



「左だけでいい…」

「おっけ。てか…」



夏葉が言葉を切ってあたしの顔を見た。



なに…?



「んなエロい顔してっと襲うぞ…」



え!?



そんな顔してた…?



あたし一体、どんな顔してんの…?
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