海よりも深くて波よりも透明
誰!? 何!?



驚いて、横にしていた体が跳ね起きた。



一方の男の人も驚いた顔をしてる。



そしてあたしを指さして夏葉を見て、「夏葉の女!?」と大声を出した。



「お前声でけえよ…。何しに来やがった…」



そう言う夏葉を無視する男の人。



あたしの方は軽くパニック。



「いやまじか~。はじめまして~。俺、夏葉の親友の郁(イク)って言います!」



そう言ったその人。



なんか軽いし…。



でもよく見たら顔立ちが綺麗。



茶色の短髪もよく似合ってる。



「穂風、まじ悪い。コイツ、高校時代の友達…」

「あ、ううん。初めまして、夏葉の彼女の穂風です」



あたしはそう言って郁に挨拶。



郁の方はあたしに興味津々って感じだ。



「若いね~、ハタチくらい? 大学生?」

「ううん、高3」

「は!? 高校生!? 夏葉お前JKに手出したのか!?」



郁がそう言ったら夏葉が黙って郁の背中を蹴った。



「いってぇ~…」

「うるせえわお前…」

「すごい日焼けしてるから夏葉の海仲間?」



なんかこの2人面白いかも。



漫才してるみたい。



「そうだよ」



あたしが代わりに答えた。



「へ~、海の人と付き合うの初めてだな」

「そうだな…」

「雰囲気も今までの彼女と全然ちげえし。趣味変わった?」



郁が言うと、夏葉はもう一発蹴った。



面白い…。
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